日本の労働者の構成が大きく変化しています。その顕著な例が「2025年問題」です。
2025年あたりでいわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者となります。
2025年問題とは、超高齢社会が訪れることで生じるさまざまな影響のことを指します。
ひとつ言える事は若年層をしっかりと会社に加えていかなければ会社の存続すら危ぶまれる時代なのです。
今回は若年の中でも「Z世代」とよばれる世代をどのように理解して会社に迎えていくか?考えてみました。
Z世代とは?
Z世代の年齢は大体25歳以下の若い世代を指しています。これから社会の中心となっていく世代ですが、企業のサービス内容によっては、この世代が中心の場合もあるでしょう。
なぜ、Z世代という特徴的な名前がついているか?という事ですが、これは元々はアメリカから伝わった世代分類を指す言葉で、ジェネレーションZから生まれました。
Z世代の特徴として「インターネットネイティブ」という別名があるように生まれた時からインターネット環境があたりまえの状態になっている事があります。
そのためにマスコミ離れも進んでおり、かつてのマスメディア中心の情報で社会が画一化された価値観を共有していたのと比較するとインターネットの影響で多様な価値観をもっている事が特徴です。
また、インターネットを通して世界的な考え方とかムーブメントも自然に認知しているのでZ世代以前の世代と比較すると社会問題への関心がある事も特徴です。
そして、最も特徴的なのが価値観の多様性を体感としてもっているので、社会や親からの影響の価値観ではなく「自分の価値に合うか?」という選択をするのでブランド等にこだわらないという事があります。
Z世代の求める働き方
多様な価値観をもち、自分らしさや自分の価値観を大切にする世代でもあるのでそれは働き方にも現れています。
以下のような働く事への考え方は明らかに前の世代とは異なる事を経営者として知っておく必要があります。
ワークライフインテグレーション
「仕事が充実すれば家庭も充実する」という考え方です。
逆もまた然りで「家庭が充実すれば仕事も充実する」という、どちらも人生を充実させる大切な要素として、統合的にとらえようという考え方です。
パラレルキャリア
本業とは別に、自分の好きな分野で第二のキャリアを築くことです。
パラレルキャリアは収入よりもキャリア形成を目的としています。
副業
副業は収入を目的として本業以外の仕事をすることです。
パラレルキャリアのようにキャリアを積むことが目的ではありません。
ギグエコノミー
ネットを通じて単発の仕事をして収入を得ることを言います。
副業との違いは、受動的である点です。仕事を依頼されて「受ける」ということで成り立つものです。
クラウドソーシングがギグエコノミーの一つと言えるでしょう。
フレックス
自分で始業時刻と終業時刻を決めることができる制度です。
コアタイムと呼ばれる出勤義務として定められた時間以外の部分(フレキシブルタイム)を調整できるというものです。
Z世代はどのような会社を選ぶのか?
Z世代は以前の世代と比較すると会社のネームバリューをそれほど重視しなくなってきました。
もちろん、安定性や待遇が良い事を望むのは以前の世代と変わりませんが、それと同じかもしくはそれ以上に重視している事があります。
自由な働き方
自分の時間の使い方と仕事のバランスを意識的、無意識的にとるので在宅ワークやリモートワーク、休みが取りやすい、フレックスタイム制度のある会社で働きたいと思う傾向が強いです。
自然なコミュニケーション
かつての強制的な「飲みニケーション」などは最も敬遠されます。無理強いされるコミュニケーションではなく、距離を大事にしたコミュニケーションが大切です。
待遇が平等
Z世代では情報の公開や評価の平等性、業務内容から福利厚生まで平等であるべきだと考えます。自身の業務内容が給与や待遇に見合っているか、労働過多ではないか、不合理な状況に置かれていないかということに敏感です。
効率的な仕事時間
Z世代は業務や会議などの改善、フレックスタイム制などの福利厚生まで効率的であることに好感を持ちます。タイムパフォーマンスを意識した会社で、仕事と生活を効率的に豊かにしたいと考えます。
社内の情報がオープン
先のように平等観を重視する事から社内の情報についても公平にオープンである事を求めます。会社の組織構成、財務状況、経費、給与テーブル、人事評価項目などの情報を全社に公開しているかどうか。
良い情報だけではなく、悪い情報も包み隠さずに公開しているかどうかも重要です。
Z世代の採用で取り組むべきこと
これまで見てきたようにZ世代はマイペースとか協調性がないという見方ではなくその裏側の特性にしっかりと目を向ける必要があります。
それをふまえたうえで中小企業の経営者として次のような事に取り組む事を提案します。
積極的な情報開示
Z世代は情報の透明性を求める傾向があるため、たとえ不利益になりそうな情報であっても包み隠さず開示する誠実さが企業に求められています。また、もし情報を隠したとしても、SNSや口コミサイトなどで広がることも考えられます。信頼を落とさないためにも、積極的な情報開示を心がけましょう。
理解に徹する
世代が違う分、働き方や働く上で心がけていることなど価値観の違いはあって当然です。そういったときに「若者だから」「Z世代だから」と蔑ろにするのではなく、何を考えているのかを聞き、理解に徹する姿勢を持つことが必要です。
Z世代はコミュニティを重視する傾向もあります。職場に対する居心地の良さを感じてもらうためにも、真っ向から否定するのではなく、分かり合えるところを見つけるようにしましょう。
SNS活用
SNSが身近にあるZ世代は、就職活動の情報サイトと並行して就職活動に関する情報収集をSNSで行う傾向があると考えられます。また、近年では、TikTokやInstagramといったSNSで会社の様子を届けたり、質問コーナーを設けたりと、学生と企業との距離が身近に感じられるようなアピールをする企業も増えています。採用後のギャップを減らすためにも、SNSを通じて企業の魅力をアピールすることで、効果的な採用活動につながります。
まとめ
価値観が違うからこそ、Z世代を積極的に会社に取り込む事で会社のダイナミズムが生まれます。
Z世代は特に「型にはめられる」事を嫌います。社員としてではなく、それよりも先にまずは一人の人間として接する事でお互いの理解を得るスピードが早まります。
少子化が進む日本ではZ世代が全世代の約14%に当たり、貴重な働き手です。今後の会社経営においても絶対に欠かす事のできない人材です。
しっかりと自社の情報を発信して「価値」を理解してもらうようにしましょう。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。