2019年に日本市場から撤退した米ファストファッションブランドFOREVER21(フォーエバー21)が9月21日、再進出を発表しました。
アパレル大手のアダストリアがパートナーとなり、日本での展開を手掛けるのですがただのリニューアルではないようです。
今までの「安かろう」「悪かろう」というファストファッションで地球の資源を無駄に使うのではなくサスティナブルなものに方向転換しています。
具体的には全商品の50%以上をサステナブルな原料・加工へと切り替えるもと宣言しており、まずは商品の20%をサステナブルな原料・加工のもので構成する予定だそうです。
このようなSDGs的な視点の取組みは大企業だけのものではありません。
これからの中小企業の進む方向をSDGsから考えていきたいと思います。
中小企業におけるSDGsとは
SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals)」の略称です。
2030年までに持続可能なよりよい世界を実現する「世界共通の目標」として、2015年の国連総会で採択されました。
具体的には経済、社会、環境にかかわる分野で「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「気候変動に具体的な対策を」など17の目標(ゴール)が設定され世界的に取組みがされています。
その背景にはまったなしの気候変動、格差の拡大など、世界に共通する課題への危機意識の高まりがあります。日本でも2050年までの脱炭素実現、労働人口減少などの課題があり、SDGsへの流れは加速していくのは間違いないです。
そしてこれからの課題達成はもれなく中小企業にも求められるものになります。
中小企業がSDGsに取り組むメリット
変化や改革にはこれまでと違うエネルギーや時間、お金を使う事が多いので及び腰になるのは無理もありません。
特に、中小企業は新型コロナウィルスの影響をもろに受けてまだ回復していない会社も多いです。
しかし、世界の潮流としてSDGsの流れを止める事はできません。
中小企業がSDGsに取組む際のメリットを考えてみました。
まず、SDGsへの取組みはお客様への有効なアピールになります。冒頭で採り上げたFOREVER21(フォーエバー21)の取組みを聞いて不快感を抱く人はあまりいないはずです。
もちろん「SDGsウォッシュ」と呼ばれる実際はそうでないにも関わらず、広告などで環境に良いように思いこませるのは論外です。
しかし、実際に少しずつでもSDGsの取組みをする事をお客様にPRするのは良い効果があります。
他にも、経営資源の見直しができるSDGsに取り組む事で、経営資源の見直しをすることに繋がります。
SDGsは地球環境や天然資源を保護し、持続させることを目的にしています。
一例としてSDGsに取り組むことで、経営資源の再利用や無駄をなくすことを考えるようになります。
飲食店で食材ロスを減らすような施策だったり、スーパーで不要な在庫を持たないなどの取組みです。
他にも、自社の社員のモチベーション向上や採用にも良い影響を与えます。
特に、中小企業でSDGsに取組む事はチャレンジでもあるので大企業がやるよりも評価され易い面があります。
中小企業がSDGsに取り組むデメリット
次に中小企業がSDGsに取り組む際のデメリットについて考えてみます。
デメリットとして一番に出てくるのが「面倒・手間がかかる」という事です。
本来やっていない取組みなのである意味しょうがないのですが、時間やエネルギーなどの経営資源を使うのはデメリットになります。
特に「コストがかかる可能性がある」という事はデメリットになるでしょう。
会社の利益に影響を与えずにSDGsの取組みをしていくのは経営者の手腕が問われる事になります。
あまりにもSDGsの方向に経営の舵を切り過ぎると本業に悪影響を及ぼす可能性もあります。
まずは出来る事から少しずつ積み上げていく事が大切です。
中小企業の実践実例
・土に返る素材のスニーカーで循環型消費の在り方を発信
株式会社スピングルカンパニーは、広島県府中市を拠点としてレザースニーカーの企画・製造・販売を手掛けている。同市を含めた備後地区は職人気質にあふれる地域であり、そこで1997年に創業した同社は、究極の履き心地を追求した末に、国内外で高い評価を得ているブランド「SPINGLE MOVE(スピングルムーヴ)」を世に送り出した。また、靴を履きつぶして捨てるのではなく長く大切に履いてほしいとの想いから、スニーカーの修理対応にいち早く取り組んでいる。ソールの修理だけでなく、インソール交換や縫い目のほつれ直しなど、修理箇所も拡充した。SDGsに関しては、廃棄後に土に返る素材だけを使った「サスティナブルなスニーカー」を販売し、循環型消費社会に提案する製品として位置付けている。
引用:J-Net21
・脱石油とフェアトレードを中心にSDGsに取り組む「雪ヶ谷化学工業株式会社」
雪ヶ谷化学工業株式会社は1952年設立の、スポンジ・各種発泡体製造、化粧用スポンジを主力とした石油化学メーカーだ。とくに化粧用スポンジはかつて、原料を天然ゴムから石油由来の合成ゴムに切り替えたことで、ファンデーションの油分へ対応できる耐久性と天然ゴムから生じるアレルギーといった2つの問題を解決する画期的な商品となった。しかし近年のSDGsの潮流により、社会のニーズの変化に気付いた坂本昇社長は、化粧用スポンジとしては課題の多い天然ゴムを原料に使用し、石油化学メーカーでありながら脱石油という大きな決断に至った。それだけに留まらず、天然ゴム農園の労働者の人権に配慮した「天然ゴムのフェアトレード」も進めている。「B to B(美)to The future 今からできることを、これからのために、一歩ずつ。」とのスローガンを掲げる同社は、脱石油とフェアトレードを中心に本気でSDGsへ取り組んでいる。
引用:J-Net21
・「ジェンダー平等」「働きがい」のロールモデルから女性たちの応援者に「ブリリアントアソシエイツ株式会社」
地元産ビーツを使った「ピンク華麗(カレー)」などピンクの商品群を取りそろえ、鳥取発のブランドイメージを広げている「ブリリアントアソシエイツ」(鳥取市)は、CO₂削減から始まったSDGsへの取り組みも本格化させている。とくに力を入れている「ジェンダー平等」「働きがい」の分野では、同社代表取締役の福嶋登美子氏がロールモデルをつとめることで女性活躍の推進に貢献してきた。現在、中小企業応援士もつとめる福嶋氏は、後進の女性たちを応援する立場となり、「チャンスがあれば(起業などに)挑戦してほしい」と呼び掛けている。
引用:J-Net21
・産廃の卵殻を環境にやさしい商品に活用する「株式会社SAMURAI TRADING」
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の削減が叫ばれるなか、かつては産業廃棄物として処理していた卵の殻を活用し、環境にやさしい素材を開発したのが「SAMURAI TRADING(サムライトレーディング)」(埼玉県桶川市)だ。SDGsへの関心が高まるにつれ、同社の素材を使用した商品は注目を浴び、大手企業にも採用され始めている。ほぼ捨てるだけだった卵の殻は、今や地球を救う「金の卵」に変わりつつある。
引用:J-Net21
●まとめ
資金やマンパワーに余裕のない中小企業がSDGsに取り組む事はたしかに大変かもしれません。
しかし、SDGsをひとつのビジネスチャンスと捉える事で新しいアイディアや目標が出てきませんか?
まずは、「できることから」「小さいことから」コツコツ始めてみましょう。
無理をしないで、楽しみながら取り組むことができれば、長続きでき、会社にSDGsの取り組みを根付かせることができるはずです。
SDGsをひとつのきっかけとして会社の価値を向上し、経営の見直しができればチャレンジした価値もあるはずです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。